プロローグ~幼き自分~

5/5
前へ
/134ページ
次へ
―――― ガタッ! 知らず知らずのうちに寝ていたらしく、椅子から転がり落ちた。 (何で今さらあんな夢を……) 今から十年くらい前の記憶。 あれから半年後に富士山を覆う結界が誕生し、俺の提供した魔力のおかげなのかと心踊らせたものだ。 以降、魔物に押されていた人類は、魔界に進出できるまで進歩している。 起き上がり、元の席に座る。 (……ん?) この机と椅子。見覚えがあるというか、親しみがあるというか。 何だっけ、とぼんやりした頭で考えていると、 「オレの授業で居眠りとは、いい度胸だな烏丸」 この、人を威圧する声。 恐る恐る見上げると、ジャージを身に纏った筋肉隆々の教師が立っていた。 (……しまったな) そう言えば、今は魔法学の時間だった。 生徒指導にめちゃくちゃ厳しいと言われるこの人の授業で寝てしまうとは……。 こりゃあ、厳しい『指導』を覚悟せにゃならんようだ。 やれやれ……。 ――――
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加