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「さてと……」 雨戸の隙間から差し込んだ光でぼんやりしている部屋の中で、僕はまだ頭が働かずボーっと何から準備を始めるか考えていた。
「まず雨戸を開けるか」と独りでつぶやきながら、雨戸を半分開ける。
「雨か……」 どんよりとした雲に湿気の多そうなシトシトとした梅雨らしい雨である。昨夜の天気予報で分かっていたことだが、あまり気分のいいものではない。そんな気分を吹っ切るために僕は風呂場に向かった。
シャワーを浴びすっきりしたところで時間は11時。友達とは11時半に駅で待ち合わせる予定だ。その駅までは自転車で30分はかかる。服を着ながら携帯を開くとメールが一件。友達からだ。
『電車が遅れているみたい。到着は11時半過ぎそう』ラッキーと心の中でつぶやき、さらに責任から逃れられたことによろこんだ。しかしさすがにもう出発しないと間に合わなくなる。僕はパンを一枚口の中にむりやり押し込み、傘を差し自転車に乗り込んだ。
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