家から出たばかりだが帰りたい

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 まだ鳥も鳴かぬ早朝に目を覚まし装いを整えたのは、騎士見習いとして日々の朝からある訓練を積み重ねてきた六華だった。他の二人はその気配に唸りはすれど、目を開ける様子はない。六華は一階に下りると有り合わせの食材を使い切るように朝食の支度をした。三人分の朝食にしては豪華なそれをテーブルに並べた頃には、すっかり辺りも明るくなっていた。しかし、二人が下りて来る気配は無い。六華は一息吐くと、一気に階段を駆け上がり、寝室の扉を勢いよく開けた。 「二人ともっ! 何時まで寝てるつもり!?」  未だ寝返りをうっている二人に、六華はさらに声を上げる。 「さっさと起きろ──っ!!!!」  悠梨が慌てふためいて眼鏡を探しているなか、繭は身体をびくつかせて唸っていた。当然のように今日も繭は引きずりだされ、やっと全員が朝の食卓についた。食べるのが遅い繭はまくし立てられ必死に咀嚼するが、やはり二人のが早く食べ終える。悠梨が六華に指示され、右に左に忙しなく支度する様子に、頑張って早く飲み込もうとした。しかし、繭が食べ終わる頃には準備万端という事で抵抗する間もなく家から押し出されたのであった。そんな調子で慌ただしい旅立ちとなり、繭からこぼれ落ちた言葉はある意味当然だった。 「お家帰りたい……」
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