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…そうあの人は言った。
ーそれは暗い闇の中の空を唸り声のような轟音をあげながら飛んでいる。
両側に剣のように鋭く伸びた大型の鉄の翼、鳥のように流れるフォルムには幾つかの光が点滅している。
鉄の翼はたゆたう雲を切り裂き、空気の滞留を作り出しながら、もの凄い速さを維持し飛んでいる。
それは、鳥も来れない高さの天空を支配する。
人が造り上げた鉄の鳥『飛行機』はその何百トンという体を科学の力で大空へと羽ばたかしたのであった。
人の力は恐ろしい、この飛行機が人によって生み出され一世紀も経たないうちに完全に操る術を手に入れ、進化させ、遂に人は宇宙にまで進出するまでになったのだから…。
人の力…いや、身に宿したその果てしない欲望とは何とも業の深いことである。
その欲望が闇を引き寄せるとも知らず…。
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