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そこには、機内とは思えない空間が広がっていた。
二人で腰掛けても平気な位にスペースに余裕がある大きな席は一つ一つが全て離され、一人でくつろげるスペースがゆったりと広がる。
その席は後ろへと倒せばベッドへと早変わりし、体が包み込まれるような寝心地は人を心地良い眠りへと誘う。
壁は白に統一され、天井からは柔らかみがあるライトが全席を照らし、一種のリラクゼーション効果も与えている。
エコノミーやビジネスでは受けられない最高の空間、最高のサービスをこのファーストクラスでは受けられ、どこぞの金持ちは満足げにシャンパンを口に含み味を楽しんでいる。
その贅の限りを許されるだけ使った空間に一人の少女が座っていた。
周りは大人ばかりだというのに少女は誰と共でもなく一人で席に座り、右側にある窓からずっと空を眺めている。
その姿は嫌でも注目を集める。
年幅もいかぬ少女が一人でファーストクラスにいることもその要因かもしれないが、それはその要因の中で微々たるものであった。
一番彼女の注目を集めたのが彼女のその容姿、そして、その少し青みがかった銀の髪であったのだから…。
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