静かなる虚空

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少女はまた窓へと顔を向け、そのエメラルドグリーンの瞳に月の光を映す。 薄い黄色、白い色等の色が混ざった月の色、その瞳に宿すは悲しみの色、やがて月は雲に覆われ、煙りが月に巻きつくように消えていく…少女は首から下げた金色のペンダントをぎゅっと握り締めそして、静かに瞳を閉じる。 しばらくの後、少女は再び瞳を開けた。 もうその瞳に悲しみは無かった。 あるのは信念を宿した力強い瞳-命を賭しても果たすという覚悟を決めた者の瞳、その瞳に映るは一人の者…かつて大好きな人だった。 いつの間にか窓の下に幾つもの光が瞬く、それは来訪者を導く光のように、自分の存在を誇示するように光る。 文明が作り出した光は少しだけ夜の闇を照らしていた。 その光が照らす大地は極東の(日本)であった。 「ここに、兄さんがいる…。待ってて兄さん…私が殺して楽にしてあげる…それが私にできる唯一の償いだから…」 少女の声は静かに虚空の空に紛れるように消えていった…。
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