17人が本棚に入れています
本棚に追加
少女はまた窓へと顔を向け、そのエメラルドグリーンの瞳に月の光を映す。
薄い黄色、白い色等の色が混ざった月の色、その瞳に宿すは悲しみの色、やがて月は雲に覆われ、煙りが月に巻きつくように消えていく…少女は首から下げた金色のペンダントをぎゅっと握り締めそして、静かに瞳を閉じる。
しばらくの後、少女は再び瞳を開けた。
もうその瞳に悲しみは無かった。
あるのは信念を宿した力強い瞳-命を賭しても果たすという覚悟を決めた者の瞳、その瞳に映るは一人の者…かつて大好きな人だった。
いつの間にか窓の下に幾つもの光が瞬く、それは来訪者を導く光のように、自分の存在を誇示するように光る。
文明が作り出した光は少しだけ夜の闇を照らしていた。
その光が照らす大地は極東の国であった。
「ここに、兄さんがいる…。待ってて兄さん…私が殺して楽にしてあげる…それが私にできる唯一の償いだから…」
少女の声は静かに虚空の空に紛れるように消えていった…。
最初のコメントを投稿しよう!