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「驚きだよ、高橋…」
また変な奴が来た…と高橋は心の中でそう呟いた。
「何だよ,相川?驚いたのはむしろ俺なんだが?」
相川勉(あいかわ つとむ)は2階の廊下の壁に背中を預け、メガネを中指で直してから言った。
「君が広瀬さんと話していたことについてだよ」
彼は相川勉。成績学年トップの天才で,メガネで,キザな目立ちたがり屋だ。
一部の生徒からはうざがられてはいるが,実際は悪い奴ではない…と思う。
「広瀬?」
誰だそれは。今の女子生徒の名前なのだろうか。
「広瀬…,広瀬歩美だ。思い出したぞ!校内だけでなく,他校の男子からもなかなか人気のある女子だ」
滝口がなぜかうれしそうにしている。
「そう,そしてわがクラスの学級委員長でもある」
相川は2年1組でさっき説明した,ゲーマー岩田と同じクラスだ。
「広瀬歩美ね…」
今どき“ああいうの”がモテるみたいだ。あざといというか。まあ自分には興味の無いことだし関係もないことだが。
「あっ,相川くんホームルーム始まるよ」
下での用を済ませたらしく,その広瀬歩美が階段を元気よく駆け上がって来た。
「分かっているとも広瀬。じゃあな高橋に滝口」
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