7月19日

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 目の前で弁当をかきこんでいる、短髪の色黒男は同じクラスの滝口颯太だ。ゲームは得意ではないが,運動神経抜群であり,反射神経が問われるゲームにおいては彼に敵うものはいない。  陸上部のキャプテンを務める一方で他の部活に助っ人で参加し,エースでもあるのが彼の凄いところである。 「俺も帰りたいぜ。まったく,岩田のやつ!」  高橋は文句を呟きながら弁当をたいらげる。そんなに面白いゲームなら一緒にやろう,と一言誘ってくれてもいいじゃないか。 「あとホームルームだけなんだ、辛抱しようぜ」 「それが面倒なんだよ、わかるか?」  そう吐き捨て高橋はちゃっちゃと弁当を片付ける。それを見て滝口もあわててしまい始めた。 「奴らのくだらない話を聞いても何のためにもならん。さっきの校長の話もそうだ」 「そうかもしれないけどさ…」 「そうかもじゃない、そうなんだ」  ニュースや雑誌の言葉に定型文を添えただけの,中身があるようでないような話ばかりだ。  高橋はぶつぶつと文句を垂れ流しながら,2階にある自分たちの教室へと足を運ばせる。滝口はその後をついていく。  そして,階段の踊り場にさしかかった時だった。「キャッ」という叫び声が小さく響いたのと同時に,高橋の目の前は何かに覆われた。  人だ。
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