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確実な手応えを感じながら僕は…………って殺したら駄目じゃないか!?
ここは中途半端な強さを見せて役立たずを演じるつもりだったのに。
はぁ、本当に殺しが身体に染みついていて面倒だよ。
「だ、大丈夫ですか?」
慌てて駆け出すフリをしながら僕はヘルガの下に駆け寄る。
あちゃあ~~、これは少し不味いな。
白鎧は砕け、胸は抉れ、呼吸は浅い。血の海に仰向けで横たわるヘルガはどう見ても死にかけだった。
「だっ団長ッ!! しっかりしてください、今治療を!」
慌てて駆け付けてきたキリア。同じく駆けつけてきた姫様は小さく悲鳴を上げていた。
「紅ちゃんは悪くない。わたしが保証する。だってあんな強力な魔法を使われたんだから仕方ないよ」
優しく抱き締めてくる水姉。別に僕は落ち込んでなんかいないけど……。
そんなことをしている間に治癒魔法でどんどんヘルガの傷が癒されていった。
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