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石造りの祭壇の周りに沢山の宮廷魔術師たちが集う。事情を知らない彼らは泣いていた。
世界を救った勇者に何の礼もできずに、足早に勇者が帰ってしまうのだから。
唄うように呪文は唱えられ、終わる。
僕の足元から光の粒子となって消えていく。
「すみません。色々とお話しがあるのでこの場は私たちだけにしてもらえませんか?」
姫様が何かを決意した表情で言った。
ざわめいたが、最終的に宮廷魔術師は王の意思を問うように見て、王は頷いた。
残ったのは二人。僕と姫様。僕はもう腰まで消えていた。じきに全て消えてしまうだろう。
姫様は決心し、勇者に一歩近づき言った。
「私はあなたが好きです」
姫様が手にしていた指輪を手渡された。
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