裁く者、裁かれる者

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  身の丈程の大鎌を軽々と振り回し、小さな断罪者は狂ったように先程の言葉を繰り返す。 「僕が斬るのは肉体だけだ。貴様の穢れきった魂は、冥府にて待つ我が兄が斬ってくれるだろう!」 鎌を避けた隼人の黒いフードが取れ、その整った顔とボサボサの黒髪が露になる。 面食いな香奈も思わず見とれる程の、かなりのイケメン。 しかし彼女が見惚れたのはほんの一瞬のことで、彼の狂ったような瞳と、その妖しく歪められた口許を見て瞬時に我に返る。 「うるさい子供(ガキ)だな。断罪者の命であるデスサイズを、そんな乱暴に振り回すなよ」 「ふん、恐れていては何も斬れない。忠告しておくが、僕を甘く見ると……!」 刹那、隼人が馬鹿にしたような笑みを浮かべ、振り下ろされた鎌を弾いて少年の腹に蹴りを入れる。 「ッ……かはッッ……!」 「君さァ、『自分は特別な存在だ』、とでも思ってるのかい?」 大きく見開いた瞳と、悪魔のような妖しい笑顔で少年を見下す断罪者。 「前時代の『中二病』というやつだねぇ」 相手の首に縄をかけるように、曲線を描く鋭い刃を突きつけ、悪魔が更に言葉を紡ぎ出す。 「勘違いするなよ」 その瞬間、少年の表情が固まった。 
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