木漏れ日の下で

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木漏れ日が揺れる緑の雑木林。 暑い時期には、まだほど遠い。 にもかかわらず、あたしの額にはひんやりとした汗の感触が滲んでいる。 夏を待ちわびて、五月蠅いほど鳴いていた虫たちの声が、さっきピタリと止んだ。 まだ姿こそ見えないが、近くに誰かが居るのは間違い無い。 (敵が……目の前にあたし達の敵が居る!) あたしは茂みに身を潜ませたまま、息を殺す。 (敵は何人? あたしには気付いているのかしら?) じっと相手の出方を探る。 後退して仲間に知らせるべきか…… いや、無理だ。今動いたら敵に気付かれる。 それより、今はここをやり過ごして、後続部隊が交戦を始めたときに敵を背後から挟撃して…… そのとき、十数メートルほど先の茂みから、ガサッと物音が聞こえた。 誰かがいる。 音を立てないように静かに銃を構える。 意識をそこに集中させる。 先手必勝。生き残る術<すべ>は敵を倒すこと。
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