木漏れ日の下で

3/15
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
ザザっ! 若葉の木々をかき分けて、背後から誰かが歩いてきた。 気配を消す素振りもない。 ハッと気配に気付いて、後ろを振り返る。 赤茶色の正式服を着たクラスメイトの眞柴想一君だ。 彼は、あたしの緊張感を余所にして無防備に姿を曝す。 (危ない!! 来ちゃダメっ!!) そう思った瞬間! 森の静けさを切り裂くようにして、自動小銃をフルオートで放つ銃声が鳴り響いた。 あたしの真上を、空気を裂く音と共に飛び抜ける銃弾たち。それらが着弾する木の幹からはバチバチと樹皮がはじけ飛ぶ。 春を告げたばかりの森の緑が、飛び散った鮮やかな赤い液体で染まった。 信じられないといった表情で、左胸を押さえたままがくりと膝を突いて倒れ込む眞柴君。 眞柴君の指の下からは、森の緑を染めたのと同じ、赤色の液体がにじみ出していた。 「眞柴君っ!!」
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!