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やがて画面が切り替わり、
ベッドの上に腰かけたヴィエラさんを写すカメラ。
さっきまでの色っぽさはどこへやら、白いワンピースを着てにこやかに笑うその姿はまるで別人のようだった。
オトナの女性にはいろんな表情があるのだな、などと思って観ていたら、何やら、ヴィエラさんに対するインタビューが始まったようだ。
Q.初体験はいつ?
『えぇっとぉ、高校一年の時だったかなぁ?』
Q.その相手は?
『えー、いっこ上の先輩と』
Q.場所は?
『その人んちで。でもさぁ、その時じつはぁ、一階にぃ、その人の家族がいてぇ…!』
「…ねぇ、にぃちゃん」
「なんだ?」
「つまんない。インタビューなんてみてもつまんないよ!ねぇ、早送りしよーよ~…!」
「バカ言え。インタビューは重要なんだぞ?あ、こんなフツーの子が今からえっちなコトするんだ!という気持ちの高ぶりが必要なんだ。黙って観てろ」
そう言って俺は、焦る弟をたしなめつつ画面に目を戻した。
Q.一番感じるところは?
『…え~、やっぱクリかなぁ…?やだぁもぉー!チョーハズい!』
「ねぇ、にぃちゃん…。クリ、って、なんのこと?」
「あの…、それはあれだ、例のクリステルのことだ。いいから黙って観てろ」
「クリステルが感じるからチョーハズいの…??」
疑問符だらけの顔を向ける弟を無視し、俺は再び画面に集中する。
どうやら長かったインタビューも終わったようで、画面は一旦ホワイトアウトした。
これからついに、
ついに始まるのだ。
さすがに今度ばかりは、俺もまた弟と同じように生唾を飲み込んだのだった。
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