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「私が鍵を開けている間、誰も来ないように見張っていて欲しいの~」
ああ……。なるほど……。
「まあ、それくらいなら……」
鍵の開け方は聞かないでおこう。
見ざる言わざる聞かざる。事なかれ主義万歳。
とはいえ、一度言い出したら聞かないのがマリだ。俺がここでどう足掻こうが何らかの理由と脅しによって無理やり言う事を聞かされるのが目に見えている。
という事で、協力しましょう。
「それじゃあこっちよー」
そう言って、マリは俺を手招きしながら歩き出す。
今思えば、これが悪魔の手招きだったのかもと、思わなくもない……。
かもしれない。
マリが俺を連れて行った場所は、恐竜博物館の案内ツアーで案内されるルートを、途中で折れた場所だった。
そこは突き当たりが行き止まりになっていて、あからさまに何かありますオーラを出している。
「ほらこの部屋。耳をつけてみて?」
「ふむ……」
俺は言われるがままにドアに耳をつける。
……確かに、何か物音がするなあ。ゴトゴト言ってる?
「気になるでしょう? さっ、開けるから見張ってて」
「はいはい」
俺はドアから離れて、通路を見張る。
どこにも人の姿は見えないし、気配も無し。
足音も聞こえないな。
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