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「…………!」
パキパキと音を立てて卵が割れる。
そして、中から出て来たのは……。
「キャウー!!」
「にっ、人間……?」
卵から孵化したのは、人間だった。
いや、見た目は人間の姿をしているが、所々に鱗のようなものが付いている。
さらに後ろから伸びているのは、尻尾……?
生まれたばかりだというのにサラサラと流れる髪は、日本人では有り得ない緑色をしている。
この、何とも現実味を失う名状し難きものを、敢えて名状するなら……。
「爬虫人類……」
「キャウ?」
俺の呟きが聞こえたのか何なのか。先程まで虚空を見ていた大きな瞳が、俺を捉える。
そしてジーッと俺を見た後、満面の笑みになって立ち上がり、俺に向かって飛び付いてきた。
「うわっと!」
得体が知れないとはいえ、恐らくまだ生まれて間もない子供。避けるのはあまりに外道。
俺はそれを正面から受け止めて、抱きしめる形になった。
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