とある高校の文学部

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「さて、一旦落ち着きましょう」 「そうですね、取り敢えず部長が落ち着いてください」 「じゃあ山田君に問題よ。 『一流』と『二流』の違いは?」 「え? えっと……」 「ブーッ!」 「時間が短すぎる!」 「すぐに答えなさい。 ページには限度があるのよ」 「メタ発言は止めてください」 「正解はね……その実力でお金を稼げるか否か、よ。 まぁこれは私の持論だけどね」 「お金……ですか?」 「そうよ、当然でしょう? スポーツ選手も小説家も漫画家も同じ、プロと呼ばれる人達は必ず『一流』でいる義務があるの。 何故ならそれでお金を貰って生活してるわけだから。 極論を言えば、消費者を満足させられないプロに『一流』を名乗る資格なんて無いわ」 「バッサリ言いましたね……」 「じゃあ『二流』はどうかしら? 小説を書いたってそれが出版社の目に止まるわけでもなく、誰かにお金を貰うわけでもない。 つまり、誰かを満足させる義務が『二流』には無いってこと」 「はぁ…………でも」 「話は最後まで聞け童貞が」 「酷い!」 「だからこそ、よ。 決して『一流』になれなくても、『二流』には『二流』なりの奥の深さや面白味があるの!」 「『二流』なりの……面白味?」 「そういうこと! じゃあ新入生が入ってくるまで、私が山田君に『二流』ってものを指南してあげるわ」
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