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「チーンッ…………ふぅ。
さて、それじゃあ今年度の総決算として、最後のお題は近年新たな技法として世間から認知されつつある『メタ発言』よ!」
「またタイムリーなお題ですね」
「まずこの『メタ発言』に関する簡単な基礎知識から。
山田君、メタ発言ってどんなものなのか説明出来る?」
「えっと……分かるには分かるのですが、どう説明したら良いのかちょっと言葉に迷います」
「いや、分かってるならいいの、私から説明するわ。
簡潔に言えば『作品内の世界観と現実の世界観との境界線を曖昧にしてしまう発言』のことね。
まぁ実際どんなものかは山田君も読者も理解しているでしょうし」
「その今の部長の台詞もまさしくメタ発言ですもんね」
「このメタ発言、コメディ漫画やライトノベル等で主に用いられる『新しい形のジョーク』と世間に捉えられがちだけど、実はもっと前から世界的に有名な作家が技法として昇華していたのよ」
「世界的に有名な作家?」
「ご存知、手塚治虫。
日本人なら誰もが知る漫画の神様だけど、この手塚治虫の代表作の『火の鳥』では、あちらこちらにメタ発言が隠れているのよ」
「そ、そうなんですか!?」
「意外と知られてないけどね。
つまり私が言いたいことは、未だ風当たりが強い『メタ発言』って技法も、使い方によっては充分な魅力に成り得るってこと。
『二流』である私達が、この技法を使わない手は無いわ」
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