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「お前…、まさかっ…」
「……っ」
何も言おうとはせずただ俯く
「愛したんじゃないだろうな…、人間を」
「…だとしたら?」
今まで何も言わなかったケイが口を開いた
「だとしたら俺は、もう…、
この世界から追放か…っ?」
「お前っ…」
呑気にヘラっとしてて逆に俺が戸惑う
「びっくりだよね、人間をだなんて。
今まで"餌(エサ)"としか思ったなかったのに」
「それ…本気で言ってるのか…」
「本気だよ」
今まで何百年と一緒に居て、今初めて見た真剣なケイの"瞳(め)"
「それがどう言う事かわかってない訳じゃねぇよな…?」
「あぁ、わかってる」
「…っ …ふざけんなっ!!!」
気付けば思いっきりケイを殴ってた。
「ごめん、コウタ…っ」
「ふざけんなよ…、ふざけんなっ!」
どんなに殴ったって
人間のように怪我をすることなく、
すぐ治る。
「ごめんね…っ」
「行けよ…っ」
「えっ…?」
「…行くんだろ、人間界」
驚きを隠せない表情のケイ。
正直自分でも何故こんな事を言ったのか
不思議だった。
だけどそう言えたのはきっと、
俺らは昔から1番の仲間だから。
「言わないでやる、この事は」
「コウタ…っ」
「バレた時はその時だ。
それでもいいなら、その覚悟があるなら、
行けよ。…俺は何も言わない」
さっきロックした扉を開けた。
「ありがと…っ!」
そう言うと扉の向こうへと走って行った。
「ふっ…ったく、相変わらずだな…っ」
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