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と言うよりも、その少女が俺の方を凝視しているようにも見える。
俺は別に見知らぬ女の子を惚れさせるイケメンとか、「痛い電波系の女の子なのかな?」というわけではない。
ただ、誰ひとり漆黒の少女に気づいていない。それが異常だった。
あの子が影が薄いから、見えていないと言う訳でも無いだろう。
まるで、あの空間だけ存在しないように見える。
急に体に何かぶつかる衝撃を味わう。
「何、ぼんやりしてるんだ! 邪魔だよ!」
それはただの知らない男の人だった。通行する際、俺が邪魔だったのだろう。
舌打ちをして、さっさと行ってしまった。
これが、普通なのだ。こんな大通りで突っ立ていたら邪魔扱いされる。
(だけど、あの子は―――)
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