50人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケド・・・」
「良いんだよ。それにこの人の量だ。宿の主人も一部屋でも空いてた方が、他の客を入れられんだろ?」
身分を気にしないばかりか、自分よりも先ず他人。
この諸星兄弟の人柄が幸村からの、そして城内や城下の人々からの信頼に繋がって居るのだろう。
「はぁ・・・諸星兄殿、もう少しご自分の立場と云うか、身分をだな・・・」
「うっせ!身分なんか知らねぇよ。俺らの大きな括りはどっちもあの人の家臣なんだ、何処にも違いなんてねぇよ」
「・・・・・・」
「それとも何か?お前は俺と一緒は嫌なのか?六郎」
困った顔〈実際はバンダナ(手拭い)で目が見えないため、表情が分かりにくいので恐らくだが〉で告げる六郎に、海はニヤリと意地悪な笑みを浮かべながらそう答える。
「序でに、俺を呼ぶなら『海』だ」
結局、名前の呼び方も含め六郎が折れたのだった。
◆
最初のコメントを投稿しよう!