序 章*雷無月

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常世の闇(とこよのやみ)はどこまで続いているのだろう。 待ちくたびれた裕史(ひろふみ)はそんなことを考えていた。 自分の歩いていけない範囲まであるのだろうか。見えないだけで一歩を踏み出せば、すぐに壁にぶつかるのだろうか。 一歩も動けない裕史にその答えは見つけられそうにない。 『この空間』には何も存在しなかった。 ただ自分の手や体さえも見えない常世の闇に立ち尽くしている感覚に囚われているだけだ。 疲れも感じなければ、空腹も睡眠さえも感じない。 もう、いつからいるのか、いつまでいるのか。応えが出るのを待ちくたびれて、裕史はほぼ考えない状態に落ち着いていた。 何も考えないのは楽で良い。
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