序 章*雷無月

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話に寄れば、『この空間』に入り、気が狂ったものが何人もいたという。 また、『この空間』から出て、廃人になった者も数え切れない。 ーーそう言い聞かされていた。 眼前に広がるは、常世の闇ーー なんだ、こんなもんか。 裕史は眠るように、意識を手放した。 ーーシャン 鈴の音に裕史の虚ろな意識が反応した。 明音(あかね)が舞っているのだうか。裕史は耳を澄ませて、音の続きを待つ。 『うぬは、何だ?』 常世の闇に確かに声が響いた。
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