三日月

１

「この人には、適いませんよ」

静かにそう言った

こんな可愛いあかりちゃんが適わないと証したその人を見る

中学生とは思えないプロポーション

大人びた顔付き、背中まで伸びた長い髪、高い身長、細くしなやかな身体

体の至る所全てに幼稚な部分が見当たらない

あかりちゃんが可愛い子なら、この人は美人の大人と表せる

「この人の、九夜（くよ）先輩の姿を見るまでは誰と付き合っていようと告白するって決めていたのですが…」

圧倒的な差を感じてしまったのかもしれない

違う人種

『可愛い』と『綺麗』の差

それは言葉や意味よりも歴然で

「しかも告白する１歩手前ですよ？」

２人は『出会ってしまった』

「青天の霹靂とは正にこの事だと思いました」

ただ、それだけじゃないのだと思う

あかりちゃんがどんな性格かまだ分からない所もある、けれど負けず嫌いだと最近知った

そのあかりちゃんが『勝てない』と宣言するほどに『圧倒的』だと悟ってしまう

そんな相手だったのだろう