三日月

１

とてつもない出会いと別れ

普通を超えた『何か』

私には到底理解出来ない事

あかりちゃんと私はそこが根本的に違う

いや、『私そのもの』が

余りにも、

『普通』過ぎるから

なんて、昔の事を思い出しても…

あかりちゃんの昔話にあてられたのだろうか

「ゆみさんは？そういう経験ありますか？失恋したーみたいな」

「わ、私？ないない、ないよ！そんな激動の人生を歩んだ事ないもん！」

「本当ですか～？」

私の人生なんて作文用紙にたった何行かで表せる

本当に短く

短編小説よりも短く

あまりにも簡単に

あまりにも簡単過ぎるくらいに

刺激も何もない、――『１６年』――