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?「チヒロ……みーつけた♪」
「!?」
すぐ近くで聞こえた聞き慣れない声に、エナが顔をしからめた時
チヒロ「………ミユっ!!」
後ろを振り返ったエナの目の前に銀色のハサミの刃先が迫っていて、それを千尋の手が寸前で受け止めている光景が見えた
チヒロ「ミユ……どうして外に…?」
ポタポタと滴り落ちる真っ赤な血
ミユ「あのねチヒロ…私、分かったの。」
チヒロ「……何が?」
千尋は自分の手の肉に食い込んだハサミの刃先を引き抜き、くすくすと不気味に笑うミユから距離を置いた
「秋山くん……あの子、秋山くんの何?」
顔に千尋の返り血がついたままのエナは、千尋と良く似た顔をしたミユに釘付けになっている
チヒロ「……あの子は僕の双子の姉のミユで、少しばかり心を…病んでいて…外に出ることは無かったのに。」
ミユ「私ね、ラプンツェルなの。塔に閉じ込められたラプンツェル…それが私…だけど、救いの人は来てくれた。」
チヒロ「ラプンツェル…?」
ミユ「そう、ラプンツェル…。みんなが私のこの瞳を嫌って酷いことをする…だから私は外に出られない、ずーっと1人きり…ずーっとハサミと私と大嫌いな母と大好きなチヒロだけの日々…」
だけどね、チヒロ…
ミユ「救いの人は言ったの、私と貴女は同じだから…一緒に行こうって!!」
楽しそうに無邪気に笑うミユにエナは唖然とするしかない
チヒロ「行くって何処へ行くんだ?」
ミユ「チヒロがいないセカイ。」
急に笑うのを止め、静かにそう言った
チヒロ「……僕が、いないセカイ…?」
ミユ「私とチヒロは2人で1人…魂の片割れ同士の双子はいつまでたっても未完成のまま…。」
別のセカイに行けば…
ミユ「私は新しく生まれ変われるの、本当の秋山 ミユとしてね!!」
ミユはハサミの刃先に付いた血をペロリと真っ赤な舌でひと舐めし、再び千尋に飛びかかろうとしてきた
「秋山くん!!」
千尋はエナを庇うようにエナをぎゅ
っと抱きしめた
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