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―広い荒野の中心。
灰色の空を見上げ佇む一つの人影。
荒野は血の海と化し、埋め尽くすように広がるのは死体だ。
それも人ではない。
それは異形のもの。
この世界では【魔族】と呼んでいる。
人影はゆらりと動く。
そして呟いた。
「足りない…。
まだ足りねぇんだよ…」
それは男の声で、まるで地の底から這い出るような声で酷く飢えている。
頭から脚の指の先まで血に濡れ、蒼い瞳がギラリと光る。
握られた銀の大剣は血に濡れ、最早銀の色を映してはいない。
「…もっと。もっとだ…。
俺をもっと楽しませろよ…」
男は戦うことを生き甲斐とし、戦いに飢え、力を欲していた。
名をレイブル・ブラック。
魔族と戦う騎士である。
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