晩飯のための肉調達、そして出会い

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 ポケットに手を突っ込んでだるそうに肩慣らしをするおれ。  このコート、かなり重たい。肩が凝りそうだから毎日の日課が肩慣らしってどうよ。まだおれ16なのに。誕生日は昨日で、一人虚しく豪華ディナーにして気を紛らわせたよ。目から塩水流れてたけどね。  そろそろ行くかな。晩飯よ、待ってろよ  ガサガサと、おれが歩くたびに聞こえる草が擦れる音。  聞き慣れたこの音に、若干ながら心地よさも感じ始めるおれはきっとダメになってきてるのかも……  一抹の不安を感じ始めるおれは、今日も安心安全のぼっちだ。今の時間にあった言い方をするなら、黄昏時に、夕日を背中に蟻が甘いものを巣に運ぶときに、小さく「蟻さんはみんなといれていいな。ぼく、いつも一人だから羨ましいよ……なんて。ははっ、君たちに文句を言っても仕方ないよね。ごめん」とか言っちゃってる人みたいな。  ………体験談とかじゃないからね。きっとそうだ。そうに違いない。  踏み分ける草も減ってきたところで、ポケットの中に詰め込んである得物を両手併せて二つ持つ。  場所は木が複雑に生える、獣道が一筋ある場所で、おれが何百何千と歩いて出来てしまった道。倒れた木の側にツリーハウスを組み立てたから、おれの狩り場は移動していない。  狩り場は数日置いてから行くと、大抵大型犬程度のモンスターが数匹いる。  毎日行ってしまうと、モンスターもここは危ないと学習する。  不定期に訪れることによりモンスターの警戒心を薄れさせ、楽に肉を得れる。  肉を狩れないときは、キノコや魚を食べている。味薄いけど  やがて獣道を抜けると、案の定モンスターがいた。  数は一匹で少ないが、他のモンスターを逃がす作業をしなくていいので、今回はすぐに終わる。  あまり音を立てないように慎重に足を進めて、ポケットから二つ得物を取り出して、いつでも動けるように体制を整えて、近くの草むらに身を潜める。  待つこと数分、三匹の鳥が大きな翼を大気に打ちつける。モンスターは鳥に目を奪われて大きな隙が出来た。  絶好のチャンスだ。逃すという選択肢はどこにもない  おれは身を潜めていた草むらを飛び出して、獣モンスターに肉迫する。
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