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手から放出される雷撃に当たり、触手の数本は丸焦げになり朽ちたが、その数本をやっただけで残りは引っ込んでいった。
「火使えばすぐ終わらせれるのに。今はこの山が憎いよ全く」
かなりの年数住んできた山に一つ愚痴をこぼしてから、おれは得物………まぁただの釘なんだけど、ポケットから取り出してヤツのいる近くの木に投げた。ワイヤー付きのね。
釘を続けて10本投げて、触手の動きを封じる。封じたのはモンスターの方で触手は飛んでくるんだけどね。
こちらに来る触手をなんとか切り抜ける。
「はっはっは。なかなかどうしてめんどくさい奴じゃないか。ん? どうした。持ち前の触手技術はそんなものか」
触手に挑発すると、触手を鞭を扱うように振り回す触手本体。
それをかわしながら、動かない本体の周りに大量の釘をばらまく。
「遊ぶのも面倒だから悪いけど終わるね。
スパークッ!」
ヤツの周りにばらまかれた釘に雷撃を当てる。
雷撃は一本から二本、二本から四本と誘導していき、ついにはヤツを飲み込んだ。
暴れる雷撃に、身を焦がしながら断末魔の声をあげて息絶える触手本体。倒れた本体は、ワイヤーに切り裂かれて緑色の液体を噴き出した。
あまりの重さに本体が先に悲鳴あげたね。もとより骨の無い生き物だから簡単に裂けたんじゃないかとも言えるけど。
本体が崩れ落ちたときに一緒に落ちた触手を、指に火を纏わせて熱で切断する。なにげに重くて困る。助けて誰か……
散らばる釘を磁力を発生させて回収してから引き返そうとして振り返ると、少女が木にもたれ掛かって死んでいるかのように眠っていた。
輝く金の髪に白い肌を持っている少女の手足には小さな傷がたくさんあった。
さっきの触手も近くにいたし追いかけられでもしたのかな。あの触手キモかったし逃げるのも無理ないか。
「おーい、起きてますかー?」
少女は、規則的な呼吸を繰り返すだけで返事はしない。
返事もしない少女を放っていくのは人としてどうだろうか。ダメだよね、ダメだよね!
「ここに置いておくのもなんだし……ちょ、ちょっと触りますよ。
おぉ! やらかい!」
生まれて初めて母親以外の女の子の肌に触ったことに感動を覚えるおれ。
こんなにも柔らかいのですね、生きてて良かった!
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