晩飯のための肉調達、そして出会い

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「と、違う違う。おれは善意で動いてるだけであってなにも柔らかい肌が気持ちいいとか慎ましやかな膨らみがあたって最高とかそんな最低なことは考えてないし?」  誰に言うでもなく一人で言い訳をして自己完結するおれ。  街中で肩に気を失っている女の子を乗せてたら即通報されてお縄だが、ここは生憎おれ以外誰もいない、はっきり言って危険な場所。  あの程度の触手相手に疲労困憊な少女を放置プレイなんてした日には、少女は次の日の朝には血の池に沈む骨だけに成り果てていただろう。  結果的にいいことしたよね、といい気になりながら獣モンスターの骸をぶら下げている場所に戻る。  トラップにかかっていれば飯ルート確定していたのに、何もかかっていなかったことに安心と哀愁を漂わせるおれ。  トラップを解除して、モンスターを回収して、来た道通りに戻った。 「さてどうしよう。さすがに人抱えたままこんな不安定な釘登るわけにもいかないし……」  早速問題に直面した。いくらこの少女が軽いとは言え、二人分の重荷に耐えることは恐らく不可能。  獣モンスターの足から滴る血で危険が迫らないとも限らない。  今までの客人は迷った人ばかりだったからな……いかに手負いだとしてもむやみやたらに女の子の体を触っていいもんじゃないし…… 「しゃーないよね。調理器具持ってくるくらいの余裕はあるよね。大丈夫、襲われない襲われない何も来ない何も来ない……」  ひたすら暗示をかけながら、いつもより早く釘を登るおれ。ツリーハウス作るときに使う木、置いとけば良かったかな…… 「鍋と包丁と……皿を二人分、起きなければ一人で食べるしいいか。あとは……と、肝心の水だな。溜め置きしてる水あるからこれ使うかね」  包丁と鍋と皿を籠に入れて、水は桶に入れて縄で括って降ろそうか。うん、そうしよう。 「そーっとそーっと……はいオッケーでーす。よーし、おれもいくよー!」  とうっ! と間抜けな声をあげて、釘を使ってゆっくり降りるおれ。  無様なり。籠しかないもんだからな……金もないから街に下りてリュックも買えないし。  釘を伝って下まで降りたとき、おれの手は鉄臭い。なんてことはない。  やったね手袋。下りるときに使うことは滅多にないけどたまには使えるもんだね!
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