深き山の変人男

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 そのうち不思議を書き綴る書物の片隅にしか置かれない、新聞で例えるなら、どこどこで何々が起きました。と、この程度。  この程度であれ、それぞれ思うことはあっても周りが殆ど気しないものの一つになったことだろう。  その話題の中心人物が有名な人であればスケールのデカい話に切り替わるんだけど。  平等を語りながら情報局なんて有名な人の話しか取り上げないから理不尽だよね。  本当の平等を語りたいなら小さな事件やどれだけ大きな事故でも、有名人を取り上げるくらいの大きなものに仕立て上げろよ、と。  しかし、これはおれの目で、リアルタイムで見てきたことだから信頼してほしい。  小説にでもよくある謳い文句の一つ、そう言われたらぐぅの音も出ない、まさに沈黙の闇が幕となって降りてこの話は既に終わってますのでご退場願いますと背中を押されてハイ終了!  飽きる話かもしれないけど是非目を通してください。   これから先に起こることには殆ど関係しないから読み流すか飛ばしてくれても結構なんだけどね。  おれの頑張りを誉めて遣わすとせめてもの慈悲の心があるならば………。  まずは第八精鋭騎士団が来る前までのことを数秒から数十秒で読み終わる話を綴ろう。  今まで調査を試みたフリーの傭兵や騎士団がいるが、あえなく失敗。けが人が出たとか大それた理由ではない。  ではなぜか? その失敗の理由も分からずじまいで、皆が皆揃って気付いたら森の外へ向かっていたと言う。おしまい  ここからが本題。  その調査も踏まえて、エフェクトでぽかぽか温かな太陽に照らされる草原が見えてしまう様が見えるほどのんびりとしたのんびり隊が派遣された。  このメイル・ラルカニア率いる第八精鋭騎士団がピクニック調査(この表現が的確かな?)をする以前から分かっていることが、“全員が全員同じ場所で迷い、同じ場所に戻される。”  この物言いでは誤解を招く可能性もあるので付け足してもう一つ、“入る場所がどこであれ、最終的にその入った場所に半ば強制的に戻るよう。”だ。  不可解なことで、誰が行っても必ずそうなると聞かれたら決してそう言うわけではない。  山菜を山奥まで採りに来る人は少ないけど、美味しいものを求めて来る人も後を絶たない。  そんな人たちは戻されることなく山菜採りができる。モンスターとの遭遇の危険はあるけどね。
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