深き山の変人男

4/7
前へ
/35ページ
次へ
 この山の本質を調べることの出来ないその理由は未だ解明されてはいないが、結論は出ている。  結論は調査をしに来た者のみが戻される。  まるで何者かの意図が働いている感じで、気味の悪い話だ。  そこで遣わされたのが、普段からぽけーっとしていて、実力がそこそこある第八精鋭騎士団だ。  この第八精鋭騎士団員の人たちは、身内には警戒心がとてつもなく薄い。というか、無い。  だから、第八精鋭騎士団には悪いが、この調査をピクニックと称し、このミラニスカーラオ山に向かわせたわけである。  当の本人たちは出来るだけ深いところまで行って比較的安全な場所を確保、帰り際に珍しそうなものがあれば一つだけ土産として持って帰ってきてほしいと頼まれただけ。  あとは“少ししかない休暇で悪いが、ピクニックを存分に楽しんでこい。給料のある休暇ピクニック、つまるところの有給だ。”と言われただけで、いきなり言い渡される言葉に文で読んでも怪しいと思われる休暇に、誰一人として疑問を持たず、まったく調査をしてる自覚はなかったのだから恐ろしい(扱いやすさ的な意味で)。  国王さんは風評はよく、かなり支持されている。  善意だけで動き、まぁ少し嘘をついてしまってはいるけど、ピクニックと呼ばれる調査の本質も、ミラニスカーラオ山に多大な危険があれば国民を護るために即刻排除を目的としているためである。  その排除を目の前にし、それで騎士団の人たちが危ないと感じ、且つそれがモンスターであれば、そのモンスターの確認をしてきてもらう。  確認をして、襲われることがないなら監視を付けつつ危険性の高い依頼として提出。  モンスターの討伐を主な仕事とする義勇軍、別称ギルドに騎士団員が得た極少の情報を頼りにモンスターの格付けをして貼りだしてもらい討伐。  もしくは山を護る者として君臨しているなら接触を試み、可能ならヒトとある程度力を持ったモンスターたちとの不可侵条約を結ぶ。  双方ともに襲われたときのみの反撃を許可し、お互い出来るだけ関わらないようにする、長い話で振り出しに戻るようで悪いけど山の調査もエイルクルシードの国王と重鎮がこう考えたから始まったわけで。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加