深き山の変人男

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 その調査(あくまで上層部は休暇中のピクニックと言い張る)で深部までもいかないが、そこそこ深く高い所まで登ったらしい。  一般人が使う山菜が多く採れるのは山の二合目付近までで、それを過ぎた場所には食べれるかどうかもわからない木の実や毒々しい色をしたキノコ、そんな危なっかしいものがたくさんある。が、食べられないこともない。  三合近くまで辿り着いた精鋭騎士たちも、その見るからに危なっかしいものには目もくれなかった。  メイル・ラルカニア(以下メイちゃん)は、ピクニックに最適な場所を見つけ、ルンルン気分でピクニックシートを騎士団の二人を除いた全員に広げるように指示を出す。  余った二人はメイちゃんと第八騎士団の副団長を任されているアルスタ・ロウテッシュだ。  アルはこの騎士団で唯一しっかりとしたのんびり屋さんで、指揮官も兼任している。  しっかりとしたのんびり屋さんってのはメイちゃんを筆頭にのんびりだらだらを基本とする第八騎士団の目付役を任されたのんびり屋さん、つまりこの騎士団の中で気の抜けるような話をあまりしないのがアルなのである。  ちなみにアルとあるをかけたわけではないので寒いとかヒドいことは言わないでほしい。  そんなことはさておき、メイちゃんとアルはこの辺り一帯に危険性のあるモンスターがいないかの確認をするために騎士団と別行動していた。 「メイルさん、ここらに異変はないですよね。楽しくピクニックするために危険はなるべく他の騎士団にお任せしたいんですが。」  アルは第八騎士団の指揮官を務めているが、戦闘に特化した人ではなく、戦い嫌いで出来るだけ避けようとする。  このためもあって(本来騎士団は危険性のあるモンスターを国から遠ざけたりするのにいるわけだから、実際はいけない行為)、第八騎士団の今までの死者はゼロ、怪我をする確率も極めて低い。  実力もそこそこあってのんびりマイペース、団長の言うことを真面目にするときだけちゃんと聞くことの出来る者だけが入隊を許される。  まぁ今入隊希望の人が来ても人数が限界で入れないんだけど
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