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昼食も終わり、第八精鋭騎士団のピクニックも終わりを迎える。弁当箱を片づけ、引き返す準備をしているその時、奴は来た。
この地で最も出現率が低い─────タヘニキス。
タヘニキスは、その行動から女性の天敵と恐れられるモンスター四天王が一角。
コイツは女性にのみ襲いかかり、襲った女性の胸を一揉みして逃走する珍種で嫌われてるヤツ。
早くもメイちゃんに狙いを定めたタヘニキスは、メイちゃんににじりよる。
じりじり、じりじり。
地獄の光景に女性騎士は脅えているが、メイちゃんを大切に扱っている男性騎士にとってタヘニキスは自分の敵と同様。
女性騎士は男性騎士とメイちゃんに小さく謝りながら巻き込まれたくない一心で後退している。
メイちゃんも後退はしているが、恐怖で足が竦み、ついには転倒してしまった。
「いや…………………助けてアルぅー!」
それを見計らったのかどうかは知らないが、タヘニキスは顔を歪ませて気持ち悪い動きをしながら飛びかかる。
──────前に、ここでおれの勇者的登場、そのさらに前に男性騎士たちがメイちゃんを護るように展開し、副団長のアルがタヘニキスの周りに土の壁を作り上げて進行の阻害をする。
もちろん、飛び上がっているときにそんなことをされてしまっては激突せざるをえない。
もともと急な方向転換には弱いタヘニキスは顔からぶつかった。
あーあ、痛そうだなー………
「メイルさん、大丈夫ですか?」
「う………怖かったぁぁぁぁぁぁぁ!もう帰る! 王様のいじわる……ぐすっ……」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ。ね? アイツは気絶してると思うのでここから早く出ましょう」
泣きじゃくるメイちゃんに腰元に抱きつかれ、それを困り顔で宥めるアル。
アルは一度体の向きを変え、メイちゃんを背負い、ピクニックシートを片付けさせてから、帰り支度を整え去っていった。
この時点でおれはメイちゃんたちのことを知ったが、メイちゃんはまだおれのことを知らない。
その話はおいおいするとして、調査はこれで終了。国王もメイちゃんにちょっぴり嫌われて、いつかタヘニキスをこの世から……とか暗い顔で呟いていた、らしい。
長い回想は一旦終わり。話はまた後で。
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