座敷童子と雪女

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「だぁーかぁーらぁー……何時になったら私は雪女担当にしてもらえるんですか!」 小さな身体で大きな声を出し、上司に猛抗議をしているのは氷山ユキミ(22)。このお化け屋敷で人気の座敷童子担当である。 就職当初から雪女を担当したいと訴える彼女は今の今までその願いを叶えられずにいた。何故なら…… 「いや、ユキちゃんさ……。雪女に対する熱意はよくわかるんだけど……やっぱこういうのってビジュアルが、ね?」 「私の何処が駄目なんですか!!」 「何処がって……全部?身長ちっちゃいし、どうみてもロリ顔だし……とても雪女って感じはしないから……ねぇ?」 氷山ユキミ(22)。身長154センチの童顔。二十歳を過ぎた今でも街を歩けば学生と間違えられ、酷い時には補導されそうになる。 お世辞にも、男を誑かす妖艶な美女というイメージの強い雪女に見えるとは言えなかった。 「て、ことだから。明日からも座敷童子担当よろしくね!」 ……こうしてユキミは本日も担当をかえることは出来なかった。
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