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呼び捨て、とか…何かカップルみたいじゃん!
そう訴えるあたしに、愛斗くんは一瞬面食らったような顔をして。
すぐに顔を下に向けると小刻みに肩を揺らした。
わ、笑われたっ…?
ひとしきり笑って顔を上げた愛斗くんの目には、薄っすら涙が溜まっていた。
それを片手で拭うと、あたしの耳に唇が触れそうな距離まで近づいて。
「じゃあ…」
と、低い声で言葉を放つ。
「~っ!今日の勉強終わり!帰ろ!」
恥ずかしくなったあたしは、ここが図書室だってことも忘れて少し大きめの声でそう言うとガタンッと席を立った。
隣から、「ちぇ」って小さな声がしたあと。
「じゃ、送ります」
そう言って勉強道具を片づけた愛斗くんが鞄を肩にかけて席を立つ。
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