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「先輩これどーやんの?」
隣に座る後輩が、あたしに体を寄せて見せてきたのは図形の応用問題。
肩と肩がくっつきそうな距離に、内心ドキドキしながら悟られないように冷静を装いながら、
「あー、これはね……」
約一年前の記憶を掘り起こして、なるべくわかりやすいように解き方を説明した。
教えながら、そういえばあたしもこの問題苦手だったなぁ…なんて思い出したりしてなんだか少し懐かしい。
数学は、学科の中では一番得意だけれどそうはいっても実力は中の上くらい。
しかも、他人に何かを説明するって行為が果てしなく苦手なあたしの説明はこの上なくわかりにくい…と、思う。
「あ、なるほど!」
それでも、どうやらあたしの下手くそな説明を理解したらしい後輩が大きく頷く。
「今のでわかった?」
「バッチリ!さすが先輩」
なんて、調子のいいことを言いながらまた隣で問題を解き始める後輩の横顔をボーッと眺めた。
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