Act.12 集う力

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  ◇◆◇ 「くしゅん!」 精霊弓『オベロン』を手に入れたスカーレットたちは、ブロンフォード王国に向かう船の上にいた。 「おいおい風邪か?」 「多分、違う……」 甲板で船酔いと戦っているスカーレットには、思考を巡らせる余裕もない。 「それにしても急だったわね。レジスタンスからの呼び出しなんて」 エリカが精霊弓『オベロン』を使いこなせるよう修行していた時のことだった。 スカーレットの所にレジスタンスから至急戻ってきてほしいと、火急の知らせがやってきたのだ。 「もう少し、大丈夫だと思ってたんだがな……」 呼び出された以上は帰還するしかない。 しかも運悪く、直接クライスラー帝国領に入る船もなかった。 面倒な回り道である。 「しっかしクライスラー帝国か~。約2年ぶりだな」 「行ったことあるの?フェイス」 「物見遊山で港町に立ち寄った程度だけどな。なんか息がつまりそうだったのを覚えてる」 フェイス曰く、あれは異常だと指摘された状況に、スカーレットは改めて一刻も早くエメラルドを救出することを決意した。
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