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◇◆◇
「くしゅん!」
精霊弓『オベロン』を手に入れたスカーレットたちは、ブロンフォード王国に向かう船の上にいた。
「おいおい風邪か?」
「多分、違う……」
甲板で船酔いと戦っているスカーレットには、思考を巡らせる余裕もない。
「それにしても急だったわね。レジスタンスからの呼び出しなんて」
エリカが精霊弓『オベロン』を使いこなせるよう修行していた時のことだった。
スカーレットの所にレジスタンスから至急戻ってきてほしいと、火急の知らせがやってきたのだ。
「もう少し、大丈夫だと思ってたんだがな……」
呼び出された以上は帰還するしかない。
しかも運悪く、直接クライスラー帝国領に入る船もなかった。
面倒な回り道である。
「しっかしクライスラー帝国か~。約2年ぶりだな」
「行ったことあるの?フェイス」
「物見遊山で港町に立ち寄った程度だけどな。なんか息がつまりそうだったのを覚えてる」
フェイス曰く、あれは異常だと指摘された状況に、スカーレットは改めて一刻も早くエメラルドを救出することを決意した。
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