1182人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
(エメラルド様……もう少しだけ辛抱してください。必ず貴方を救い出してみせます)
祈るように目を閉じたスカーレットを、エリカはじいっと見ていた。
短い間ではあるが、エリカはスカーレットの人となりを把握したつもりでいた。
(いつでもエメラルド様、エメラルド様……盲目的な奴は早死にするって言うけど、こいつは大丈夫なのかしら?)
スカーレットが自分の命さえも差し出すつもりでエメラルドを救おうとしていることを、エリカはまだ知らない。
だが、その危うさには薄々勘付いていた。
その点に関してはフェイスも同意見らしい。
エリカが無言で目を向けると、離れて話そうと船室へ移動するよう促してきた。
「――どう思う?スカーレットのこと」
話を切り出したのはエリカだった。
「あれは覚悟を決めた目だな。目的のためなら命だって差し出しかねないぞ」
覚悟を決めてしまっている以上、他人が何を言おうと無駄だ。
ならばエリカたちにできることは、スカーレットが命を投げ出さないよう目を離さないことだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!