寺小屋三角関係

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結局看板作りは5人で作る事となり「桐谷塾」と大きく書かれた看板を屋敷の門に取り付けた。 今回健達に、最初に巻き込まれたのは藤吉郎であった。 咲と春は終始笑顔を取り繕い桐谷家の当主を観察していた。 (桶狭間で今川義元を打ち取った人物…その上、あの変わり者の尾張のうつけ(信長)が重宝する存在…) (素生が解らぬ謎の人物…だが、領主になり1年も経っていないのに民からの信頼は厚い…) ((噂では武勇だけでなく政治にも長けており、新参者ながら織田家の重臣の立場にいる者…だが、今我等の目の前にいる者は馬鹿だ…只の女子好きのうつけではないか。)) 実際咲と春は北畠家と六角家からの刺客であり、ある任務を言い渡されていた。 一、桐谷家の素生を探るべし。 二、桐谷家当主が大器であり、我が家を危機に陥れるのであれば暗殺せよ。 近隣諸国は、大国の今川を小国の織田が破った事に自国への危機感を感じとっていたのだ。 だが咲と春はもう一つ棟梁である父親から最優先任務を授かっていた。 桐谷家当主どの様な人物であるか見定めよ。 何故、伊賀と甲賀の忍の棟梁達が桐谷家に興味を持ったかと言うと、忍を通して桐谷家の政策や武勇そして桐谷家の民からの人気を知ったからもあるが、六角家と北畠家の落ちぶれに見切りを付けていたのが大きいだろう。 六角家は、足利家と友好関係にあるが京で三好の横暴を抑え切れず格下である浅井家の領地を侵略する処か敗戦により六角家の繁栄を地に落としていた。 北畠家は、京の公家気取りの政策をとっており、その上民に度重なる重税を取り今では本願寺の門徒による一揆が多発している有様である。 誰が見てもお家の行先は見えており小国でありながら大国を破った織田家に興味を抱いていたが、信長自身がうつけ者であるため織田家の中で新参者でありながら、名声高き桐谷家に目を付けたのであった。
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