桐谷塾開校

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兵衛は健の話を聞き、織田家に対しての忠誠心を感じ取った。兵衛はこの話の中で確信した事があり、手が震えていた。手の震えは恐怖などの感情では無く、商人としての魂が震えたのだ。 (信長様が死んでもうても、桐谷様がいる限り織田家は安泰や。…それよりも、わしは偉い人と取引をしとんのとちゃうやろか…) この後兵衛は雑賀の件を承認し、健と軽く世間話をした後桐谷塾を出て行った。 皆さんは気付いているだろうか。健が居間で兵衛と話ていた間、この部屋には第三者がいたのだ。 その第三者は話が始まると数分で居間の天井を見上げていた…(天井の裏に何がいるんだろう)そう心の中で呟いていた。男が見上げていた天井は直ぐに暗くなっていき、目の前は真っ暗になっていた。 ムニャ… 居間の天井を見上げていたのは板野健志だ…この男は真剣な話が始まると数分後には寝てしまっていたのだ。 緊張感の欠片も無い。 健は、健志に桐谷塾を任している事に若干の不安を感じていた。 (大丈夫か…こいつ…)
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