桐谷塾開校

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数日が過ぎ、桐谷塾にある子供が来ていた。名は、近藤助丸と言うらしい。 助丸は、大柄の男に連れられて桐谷塾に金銭と共に預けられたらしい。 桐谷塾は、文武を学ばせ子供に最低限の教養と己を守る術を身に付けさせる場である。子供を引き取る場所ではない。 問題の男は、その時対応していた春が自分の一存では許可する事ができないと健志を呼びに行っている間に消えてしまったらしい。 (捨て子か?桐谷塾は捨て子を育てる施設じゃねえぞ…俺のハーレムパラダイスの場だ!何を勘違いしてんだよ。その男は…) 桐谷塾を任されていた健志は困っていた。この子供を引き取ってしまうと、これから先捨て子を引き取らなくては…否、そうなれば俺のパラダイスが子供達に邪魔されてしまうと… 健志も違う意味で勘違いをしていた。ある意味どういった思考をしているのか知りたくなる男だ。 健志は助丸の目を見て悩みに悩んだ。 (絶対引き取らねえぞこの野郎!俺のハーレムを邪魔したいんだろうが、そうはいかねぇぞこの野郎…お…おい。そんな目で俺を見るな…俺は汚い大人なんかじゃねえ…お前の親父が悪いんだ。俺はお前を育てる義理はねぇ…) 健志は、善と悪の狭間で何かと戦っていた。 だが、その戦いも助丸の言葉で勝敗が決まった。 「お兄さんかっこいいね!」 健志は後ろを振り向いてキリッとした顔付きで言った。 「春、咲この子を桐谷塾で面倒を見るぞ!行き場の無い子供を助けるのも桐谷塾の勤めだと私は思う。」 健志は自分を褒めてくれた子供の為に、桐谷塾の重要な方針を即決で決めてしまったのだ。
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