桐谷塾開校

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桐谷塾に預けられた助丸はというと、桐谷塾の子供達と助丸は年齢が近い事もあり直ぐに溶け込んでいた。 助丸は朝から勉学に励み桐谷塾が終わると春と咲の手伝いをしていた。どんな仕事も進んで行う姿に健志は一つの疑問を抱いていた。 (こんな良く出来た息子を、わざわざ捨てる親の気がしれねぇ…助丸は武家の出か…いや武家でも公家でもねぇ…助丸を俺達に預けた狙いはなんだ…) 健志の疑問は助丸を見ていれば誰もが思う疑問だ。この時代の子供は、ある程度の地位が無ければ教育が受けられないのだが、助丸は授業の中である程度の教育を受けていた事が分かる位に勉学が出来ていた。 という事は教育を受けられる環境で育っていたという事が予想出来る。それに親の事になると、決して話そうとしないのだ。 普段、御気楽な健志が助丸を疑う理由には充分なのだ。 (ふう…考えるだけ無駄か。まぁ、いつか分かる事だ。その時対応すればいい。) 健志は普段女の事以外で悩む事は少ない。謎の男に金と一緒に預けられた助丸は、女の事ほど重要事項には当てはまらなかった様だ。 健志はまだ気付いてはいない。桐谷家の重要な外交を知らない間々に受け持っている事を。桐谷家の繁栄を左右するのは現在この男に掛かっているのだ。 「春~!咲~!今晩こそは一緒に寝ようぜぇ!」 助平心を隠す事なくニヤニヤしながら、春と咲を追っかけていること男にだ。 桐谷家は没落するかもしれない…
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