徳川家康

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年が明け織田家では新年を祝い、信長と家臣一同が宴会を開いていた。 「ガハハハ。いやぁ~めでたいのう!今川から攻められたのにも関わらず、こうして新年を迎える事ができたわい。」 年明け早々大声で話すのは佐久間信盛である。織田家の中でも重臣中の重臣で、信長の父の代からの重臣である。 「信盛よ…織田家は安泰だと申すか。」 この信長の一言で場の空気が変わった。今まで談笑をしていた者達や静かに酒を楽しんでいた者達は、冷汗を流しながら信長に視線を移した。 弟信行に裏切られてからの信長は反乱を企てた家臣を許すも、何処となく狂気が家臣に伝わり家臣達は一層信長を恐れていたのだ。 「今だ織田家は他国に囲まれている状況。今川を破ったとて状況に変わりはあるまい…それに美濃の義龍めは義弟にも関わらず道三を殺し、同盟を反故にしおった。」 美濃国主の斎藤道三は娘お蝶を信長に嫁がせ、尾張と美濃の同盟を約束した。だが、息子義龍が織田家との同盟に納得せず数年後反乱を起こし父道三を殺めたのであった。 信長としては義理の父を殺されたのだ。亡き父信秀を道三に重ね見ていた。 何故なら道三は信長の大器を感じ取り、可愛がり美濃を任すつもりでいたのだ。母からの愛を知らない信長は、道三を実の父の様に思っていたのであろう。だが、その事が発端で義龍が謀反を起こしたのだ。
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