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「ならば何故松平は織田と盟を結ば無かった?」
吉法師は竹千代の答えを待っていたかの様に聞いた。
「今織田と盟を結んでも、今川と武田の兵に三河が飲み込まれるのは目に見えています。」
竹千代は当然の事の様に答えた。
「なら織田家が武田か今川を討てば、松平家は織田と盟を結ぶか?」
吉法師は庭に実っていた柿にかぶりつきながら言った。
「…織田家が武田か今川を討つと?」
竹千代はこの時理解した。何故吉法師が、わざと怒らせ本音を言わせたのか。
何故この様な話を質である竹千代にしたのか。
何故、質の目の前で織田家の時期当主が付き人も無しで二人で話をしているのか。
幼いながらも竹千代は松平家の時期当主であり、吉法師も織田家の時期当主なのだ。
この話はもう子供の話ではなく、松平家と織田家の密談であり外交なのだ。
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