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「これはまだ先の話じゃ。我らはまだ幼い…成ればこそ今の間に己を鍛え成長するのじゃ。竹千代よ!お主の夢は何じゃ?」
吉法師は目をキラキラさせて竹千代に問う。
「私は…私の夢は争いの無い世を作る事です!」
竹千代は少し恥ずかしがりながら答えた。
「ふ…争いの無い世とな。竹千代らしい優しい答えじゃ!だが、その世を作るには力が必要じゃ。そして世を治める為に争わねばならぬ。お主はその覚悟があるのか?」
竹千代が言う争いの無い世を作るという事は、何者かが頂天に立ち全ての戦を終わらせるという事だ。
その為には他の者達と世の覇権を巡り争わねばならない。争いを終わらせる為に争う…その覚悟があるのかと吉法師は聞いているのだ。
「ありまする。何十年かかろうと、私は諦めません。」
竹千代は争う覚悟がある様で、目に闘志を宿していた。
「いい目じゃ。では竹千代殿…わしが力を示した時、わしの前に現れよ。織田家と松平家で良い国を作ろうぞ!」
吉法師は一つの柿を竹千代に投げ渡した。
「はい。その時は吉法師様の元へ向かいまする。して、吉法師様の夢はどの様なもので?」
竹千代は受け取った柿を握り締めながら聞いた。
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