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「わしの夢か…わしの夢は日の元を南蛮に負けぬ大国にする事じゃ!」
吉法師は海を超え遥か彼方の見た事の無い国と対等な力を持つ国にしたかったのだ。吉法師は本能的に南蛮人が日の元を狙っている事を予感していた。
後の信長の天下統一は南蛮人から侵略されない国を作る事が目的なのであった。
世界は大航海時代に入っており弱い国は、植民地として占領されていた。
鉄砲など新しい技術を持つ南蛮人達に己の領地に縛られている大名達が勝てるのであろうか…
吉法師の夢は、日の元の新しい時代の扉の鍵なのであった。
「南蛮に負けぬ国ですか…ははは!いいでしょう。その夢共に見てみとうございます。」
竹千代は吉法師から受け取っていた柿を囓ると吉法師の誘いに答えた。
「なればお互い約束を守ろうぞ。わしは武田か今川を討つ。」
「私は己を磨き、約束の時が来れば吉法師様の元へ参りましょう。」
二人のその時の笑顔は何とも清々しく幼い子供の顔では無く、立派な一人の武士の顔であった。
その日から竹千代は泣く事は無くなり、吉法師の事を実の兄の様に慕うのであった。
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