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無事織田家と徳川家の同盟が成立し今は久しぶりの対面に、信長と家康は昔話に花を咲かせていた。
「ははは。あの時の兄者の悪戯には肝を冷やしました。」
「あの時の勝家の顔は傑作であったな。」
どうやら信長と家康は幼少の頃、柴田勝家に尋常では無い悪戯をしていた様だ。
尾張のうつけと言われていた信長の悪戯だ。考えるだけで恐ろしい…
勝家ドンマイ…
「はっはっは。」
「して…道中桐谷と会ったそうだな。」
家康はその言葉に一瞬笑顔を無くしてしまっていた。
それもそのはず先程まで笑顔であった信長が真剣な顔付きになった。その一言で場の空気が変わったのであった。
「はい。清洲城までの案内をしてもらいました。あれは兄者が?」
家康は信長の配慮の行動であるのではないかと推測した様だ。それならば、家康が織田派だという事を知っていてもおかしくは無い。
「わしは何も言うておらん。あやつをどう感じた?」
家康は信長の言葉に先刻の恐怖感を思い出していた。
「正直…恐怖しました。何故か私の心を見透かされている様な気がしてなりませぬ。どういった者なのですか?」
家康は健の正体を知りたかったのだ。義元を討ち取った人物が気になった家康は、服部半蔵直々に調べさせても一切素生が分からない人物なのだ。
「そうか…正直わしも何も知らぬ。ただ言えるのは、我が家臣にせねば今もこうして家康と話せていたか分からぬ。」
「なんと!」
家康は信長の言葉に驚かされた。自身過剰で合理的思考の信長にここまで言せたからだ。
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