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「それに、親にはもう旅に出ると伝えてあるんです。勘当されちゃいましたけどね」
そう言って苦笑を浮かべるマルシェ。
「良いではないか。我は一向に構わんぞ」
突然の横やりに、俺は言葉が詰まり、マルシェは喜びを露にする。
仕方ないか…
「命の保証は出来ないが…好きにしろ」
プイッと顔を逸らし、俺は外へ向け歩き出す。
ウェルとマルシェは顔を見合わせ、そんな俺に苦笑いする。
「素直じゃないの」
小走りで俺に並んだウェルが、俺にだけ聞こえる様にそう言った。
「何の事だ?」
「プッ…大人になったと思ったのじゃが…まだまだじゃの」
「やかましいわ」
それを聞いて再度吹き出したウェルに、怪訝そうなマルシェが問いかける。
「…どうしたんですか?」
「いや…お主も面倒な男に惚れたもんじゃの」
「なっ!?」
「何故驚く?気づかないとでも?」
顔を俯かせ、顔を赤く染めたマルシェは、やはり女の子だな。
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