34103人が本棚に入れています
本棚に追加
チラリと横を見れば、ベッドに腰を降ろし俯くカルラ。
俺は寝たふりを決め込み、それを見なかった事にする。
「…私、ハンターズギルドに入りたいんです」
予想外な言葉。
俺に僅かに動揺が走る。
商業ギルドではなく、何故ハンターズギルドなのか?
ガルルンの元に仕えるのは、商才を磨く為ではないのか?
色々と思い浮かぶが、言葉にはせずだんまりを決め込む。
「…両親の仇を討ちたいんです」
仇討?
馬鹿な事を考えるものだ。
それが何になるというのだろう。
死んだ人間は甦る事は無い。
「…やめておけ」
顔をカルラに向けず、俺は一言だけ発した。
それに驚いた様子は無く、カルラは「嫌です」と震える声で呟く。
「…私はあの魔物…”ダークフェンリル”を…許せない」
「…そうか」
「はい…」
詳細は聞かない。
必要ならばそれを語るだろうから。
最初のコメントを投稿しよう!